一眼レフ・ミラーレスで夏の夜空を撮ろう!星・天の川撮影入門

この記事を読んで分かること
  • 星空撮影に必要なもの
  • 星の撮影設定
  • 星景写真の構図について

空気の澄んだ夏の夜空を見たことはありますか?街明かりから離れた山の高原などで見る星空には他に代え難い美しさと感動があります。そして、それらを肉眼で見たよりも美しく残すことが出来るのが、カメラです。今回は、星を撮影したことの無い方でも分かりやすいように、夜空の撮影方法をお伝えしたいと思います。

宇宙を感じる美しい星空と天の川

空気の澄んだ日に星々を鮮明に見られると、なんだか宇宙を見ている感じがしてロマンチックですよね。

一眼レフは、肉眼よりも鮮明に星々を捉え表現することができます。

夏の天の川。天の川は、私たちの暮らす地球、太陽系が属する天の川銀河を内側から見たものなのです。

長野県開田高原にて、御嶽山と天の川。風景の中に天の川を組み込むと、壮大で幻想的な写真になります。

天の川とホタル。天の川を上手く撮影出来ると、他の撮影には無い大きな達成感を得られます。

星空の撮影に必要なもの

まずは三脚

星の撮影では数秒から数十秒のシャッタースピードを用いることがほとんどのため、まず手持ちでは撮影出来ません。星空を明るく写すためにはカメラを三脚に固定して撮影しなくてはなりません。夜の撮影についてはこちらの夜景撮影の記事でも詳しく説明しています。

三脚について1からわかりやすく解説してみる

・どんな種類の三脚がおすすめ?

【三脚の種類と使い方、目的別オススメタイプ】

3ウェイ雲台(左)と自由雲台(右)

  三脚の雲台は大きく分けて、自由雲台と3ウェイ雲台の2種類があります。これら2種類の三脚の優劣は付けがたく、夜景撮影においてもどちらがいいとは一概には言えません。そこで、それぞれの三脚のメリットやどのような撮影シーンに向くのかなどをざっくりと示していきます。

・自由雲台

素早く自由に構図を変えられるため、1か所に限らず様々なアングルの写真を撮りたい場合に向いています。また、撮影するタイミングが重要な被写体の場合にも自由雲台が有効です。また、構造が小さいため3ウェイ雲台より携帯性に優れます。

・3ウェイ雲台

構図の微調整が可能なため、ある景色の構図を追い込んで撮影したい場合などに向いています。確実な構図の決定とカメラの固定ができるため、夜景撮影にはどちらかというとこの3ウェイ雲台の方が適していると思います。   ※三脚を使用する際は十分マナーに気を付けて撮影しましょう。撮影禁止の場所や人の往来が激しい場所での使用は控えましょう。    

レリーズ

ボタンを押すとシャッターが切れ、シャッターボタンを押したままにもできることでバルブ撮影が可能になります。  

・なぜレリーズがあると良いのか

カメラが三脚に固定されていても、直接シャッターボタンを押してしまうとそこで振動が伝わり、ブレが生じてしまいます。レリーズを使うことで振動を起こさずシャッターを切れます。また、通常のカメラの設定ではシャッタースピードは30~60秒までしか設定できませんが、レリーズを使いバルブ撮影をすればそれ以上の長時間露光が可能になります。  

・レリーズを使わない撮影方法

レリーズを使わない場合は、カメラのセルフタイマー機能を使用することでシャッターを切る際の振動を抑えられます。しかし、セルフタイマーの分のタイムロスが生じ、自分の好きなタイミングでの撮影が難しくなってしまいます。 またバルブ撮影は出来ませんが、露光開始時と終了時にシャッターボタンを押すタイムバルブ撮影機能を用いれば長時間露光は不可能ではありません。  

あれば便利なもの

 赤道儀

日周運動によって流れ動いていってしまう星の動きを止めて撮影するために用いるのが赤道儀です。星の日周運動の向きに合わせて、カメラの下に設置した赤道儀が回転し動くことでカメラで星の動きを追うことができ、長時間露光しても星が流れなくなります(星空以外の風景は逆に動いてブレて写るようになります)。より星々を明るく撮影したいときや、望遠寄りの画角で星空を撮影したいときなどに有効です。  

ヘッドライト

暗い場所での撮影で、手をふさがず手元を照らすのに便利です。他の撮影者がいる場合は迷惑にならないよう気を配りながら最小限の明るさ・時間の使用で止めましょう。   予備バッテリー 夜間は冷え込むため消費電力が増え、バッテリーの減りが速まります。また、1枚あたりにかける撮影時間が長くなるため、予備のバッテリーを持っていくことをお勧めします。   防寒具 秋から冬にかけて、星空撮影の時間帯は冷え込みます。余裕をもって集中して撮影に励むためにも防寒対策が必要となります。特に手袋は必ず忘れないようにしましょう。カイロなんかもあると指先を温められて便利です。

星空撮影に向いているレンズ

星空撮影では、とにかくF値の低い明るく写せるレンズが重宝されます。限られたシャッタースピードでも星空を明るく写し取ることが出来るからです。また画角は広角がよいでしょう。長いシャッタースピードでも星が流れにくく、広く星空を写し取ることが出来ます。魚眼レンズのような超広角レンズなども面白く星空を撮影出来ます。

撮影に行く前に

星の撮影に行く前には様々な準備が必要となります。撮影地に着いてから失敗してしまわないように入念な下調べと準備を行いましょう。

撮影地を調べる

皆さんはどこで星が撮りたいでしょうか?人々が暮らす市街地でも条件が良ければ星は見えますが、街から離れた山や高原から見られる星には格別なものが有り、写真に残しても非常に美しいものとなります。平日の夜などでしたら自宅近くの公園や光害が少ない場所で撮影するのが良いですが、条件の良い休日などは良いロケーションを求めて遠出してみるのも星空撮影の楽しみ方の一つかもしれません。

天気を調べる

せっかくの撮影地に行っても、雲がかかっていては撮影は台無しです。撮影地に行く前に撮影地と周辺の気象状況を下調べすることは必須の作業の一つです。私は星景撮影をはじめとする撮影に行くときや登山のようなレジャーに出かけるときは「GPV気象予報」を利用しています。雲の位置や量を高い精度で詳細に見ることが出来るので、非常に助かるサイトです。いつもの天気予報と併せて見るようにしています。

GPV気象予報

また、こちらの日本気象協会が発表している「星空指数」も参考になります。その日の晩の星空のコンディションが一目で分かり、GPVよりも気軽に見ることが出来ます。

日本気象協会 星空指数

また、標高の高い撮影地などでは周辺とは大きく気温が異なることになります。気温は標高が100m上がるごとに0.6℃低下します。撮影地の標高と周辺の気温の情報なそを踏まえて十分な防寒対策を行いましょう。

もう一度準備のチェック!

撮影に出発する前にもう一度忘れ物・準備不足が無いか確認しましょう。忘れがち・忘れたら大変な以下の項目をチェックすると良いでしょう。 ・充電したバッテリーを準備できているか ・(あれば)バッテリーの予備を持ったか ・メモリーに余裕があるか ・メモリーが挿入されているか ・三脚にカメラを取り付けられるか(クイックシューを忘れていないか) これらのことと、下調べ、その他の荷物のチェックをしっかり行ってから撮影に出かけましょう!

いざ星空撮影

星へのピントの合わせ方

夜空の星は遠く小さく、オートフォーカスではピントを合わせられません。正確にはっきりと星々を写し出すためにはマニュアルでのピント合わせが必要になります。

①フォーカス方式をMFに設定する

まず、カメラの設定をマニュアルフォーカスにします。レンズやカメラのボディにAFやMFと書かれたレバーやスイッチがあると思いますので、MFにセットします。ミラーレスや入門機などの場合は設定メニューから変更出来る場合も多いです。

②ライブビュー画面を開く

ミラーレスの場合はデフォルトで撮影画面が写っていますが、一眼レフの場合はライブビュー状態に設定しないと撮影画面が分かりません。夜景や星を撮影する際はライブビュー画面を多く使うことになるので、ライブビューでの操作はよく覚えておきましょう。  

③ピントを合わせたい箇所を拡大する

ライブビューの拡大機能、またはレンズのズームでピントを合わせたい箇所や明るい星のある場所を拡大することでピントを正確に合わせやすくします。  

④レンズのピントリングでピントを合わせる

レンズのピントリングを回し、ピントを合わせます。ピントリングを回していって光源が一番小さく写った所がピントが合った場所になります。

撮影モードはM(マニュアル)で!

ISO、絞り、シャッタースピードを自分で設定します。初心者には少しハードルが高く、思い通りの写真を撮れるようになるには少し時間を要するかも知れないマニュアルでの撮影ですが、撮影を重ねるごとに要領が分かってくるはずです。

①F値は開放(一番低い値)で

まずは明るく写したいので、F値を下げて明るく写します。

②シャッタースピードはまずは10秒以上で

星空をはっきり写し出すために、シャッタスピードもまずはいろいろ気にせず長めに設定して撮影してみましょう。

③ISOもひとまず高めに設定

ISOがオートの設定になっている場合は、まずそれを解除してマニュアルでISOの値を設定できるようにします。一枚めではひとまず1000~3200位に設定して明るく写しておきましょう。

④撮れた画像を確認しながら各種設定を完成させていく

上の通りの設定で撮影すれば、ひとまず星空を写すことができるはずです。撮影できた画像を確認しながら、細かい写りを見て各種設定を見直したり構図を調整したりしていきましょう。そこで次に、星景写真において注意・意識したいポイントについて説明していきます。

星空撮影で注意・意識したい5つのこと

昼間の撮影と比べて色々と特殊な要素・操作がある星空撮影。後で後悔しないために、より完成度の高い写真を撮るためにどんなことを注意しながら撮影していったらよいのか解説していきたいと思います。

①星が流れてしまっていないか

星が流れるといっても流れ星のことではありません。赤道儀の説明でも述べたように夜空の星は日周運動によって常に動いて見えます。そのため地面に固定されたカメラで星々を長いシャッタースピードで撮影すると、どうしても星が動いて線のように映ってしまうのです。星が流れて写ってしまっている場合はシャッタースピードを短くし、ISOを上げることで解決できます。また、星が線のように写り始めるシャッタースピードはレンズの画角によって異なります。レンズの画角ごとの星を止めて撮影できるおおよそのシャッタースピードは下の図の通りです。

②ブレを起こしていないか

三脚に固定してレリーズを使って撮影していてもブレが生じてしまうことが多々あります。その要因はいくつかあります。 まずよくあるのは風によるブレです。星空撮影に適した障害物の無い高原や見晴らしの良い山は、強風に見舞われやすい場所でもあります。数㎏あるような三脚でも風を受けると微妙に揺れてしまい、長いシャッタースピードの星の写真はブレてしまうのです。シャッタースピードを短くするか、ストーンバッグなどを用いて三脚の重量を増し安定させることでも改善できます。 見落としがちなブレの要因もあります。レンズやボディの手ぶれ補正機能によるブレです。手ぶれ補正機能はカメラの小さな動きを検知してレンズやセンサーに写る像が動かされる事で働きます。稀に、三脚にカメラが固定されていても補正機能が働いてしまい、不必要に画面がブレてしまっていることがあります。星空撮影をはじめとして、三脚を使用して小さなブレも起こしたくない場合はカメラ・レンズの手ぶれ補正機能をoffにしておいた方が良いでしょう。

③画面の明るさに騙されていないか

撮影できた画像をその場で確認して綺麗に明るく夜空が写っているように見えても、後で明るいところで画像を確認したら真っ暗に写ってしまっていた、なんてことがよくあります。暗いところに目が慣れてしまっているので、液晶が明るく見えてしまっているのです。少し明るく写って見えるくらいに設定して撮っておくと良いでしょう。また、星空の写真の液晶での見え方が夜と昼でどれくらいギャップがあるのか把握できたらなお良いかもしれません。

④ピントは合っているか

ライブビュー画面や拡大でピントを合わせたつもりでも、撮影を続けているうちにピントが合っていなくなっていたり、そもそもピントが合っていない場所があったりしてしまいます。ズームレンズの場合ズームによってピントが変わってしまうことに気をつけましょう。

レンズを交換したり、ボディを触ったりしているうちにピントリングに触れてピントがずれていたりすると大変ですので、あらかじめ無限遠のピントのところでテープでピントリングを固定したりこまめにピントの確認をすると良いでしょう。

レンズは中央部と周辺部でピントにズレが生じることがあります。画面中央部を拡大して星にピントを合わせても、周辺部の星がぼやけていたりします。少し絞ってみたり、画面のピントを合わせたい部分に正確にピントを合わせるようにしましょう。

⑤前景に何を写すか

星空だけの天体写真も綺麗ですが、幻想的な星景写真を残すのも星空撮影の醍醐味です。あなたは星空と一緒に何を写したいですか?人物や、山などの風景、城や神社などの史跡、広がる草原や一本の木など・・・星空は様々な光景を非日常的で幻想的な光景に変えてくれます。是非、様々な表現を試行錯誤してみて下さい。星空の下では新たな写真の楽しみ方を見つけられるはずです。

星空撮影のマナー

撮影者が多くいる人気の撮影地では、様々な気配りが必要になります。撮影地で不快な思いをしたりトラブルを避けるためにも、いくつかの気をつけたいことを挙げたいと思います。

カメラマン以外の方に迷惑をかけない

一眼レフで撮影をしているからといって、特別な権限を得られる事は決してありません。むしろ撮影者はそれ以外の方々に常に迷惑な存在であるというつもりであらなければならないと思います。人が多い撮影地では寛容な心を持って臨みましょう。カメラマン以外の方々はカメラマンの常識や意図など知ったことでは無いのです。

ライトの使用は最低限に

撮影者として、人が多くいる撮影場所が分かっていて他に人が居そうな場合は、光の写り込みを防ぐためにライトの使用は最低限に抑えましょう。ライトを使わなければならないときも手元だけを照らすようにしたり、赤色のライトを使ったりするよう心がけましょう。またAF補助光の機能がONになっている場合はOFFにしておくことをおすすめします。忘れないようにしたいのは、カメラマン以外の方々がライトを使うのは仕方が無いということです。

駐車は迷惑にならない場所に

夜の山道だからといって、撮影時に路上駐車をする人が多くいます。必ず誰かの迷惑になるということを忘れずに、適切な場所に車は駐めましょう。

 

星景写真の作例と撮影設定、構図の考え方

私なりに今まで撮影してきた星景写真の撮影設定と構図の考え方を公開します。参考になれば幸いです。

NIKON D750 18mm f/2.8 25 秒 ISO 6400

初春の天の川と田んぼの畦に一本だけ生えていた木です。天の川と水平線、木の位置を三分割法に当てはめてシンプルな構図に仕上げました。

NIKON D750 14 mm f/2.8 30 秒 ISO 3200

天の川と富士山、甲府盆地の夜景です。手前には小さな山村集落があります。超広角でダイナミックに天の川を写し取りました。

NIKON D750 14 mm f/2.8 30 秒 ISO3200

池から毛嵐が立っていたので、ライトとストロボを使っその様子を浮かび上がらせました。闇の中で光らせたその場所のその瞬間を写し取れるのも夜の撮影ならではです。

OLYMPUS E-M1 7mm fisheye f/3,5 ISO 500 30秒×120枚合成

日の丸構図の松本城と、日周運動をする星々の軌跡です。星の軌跡と城の完全なシンメトリーが迫力を醸し出しています。こういった構図を探すのも楽しみの一つです。

NIKON D750 14 mm f/2.8 20 秒ISO 5000

人物と星空を合わせる星空ポートレートも憧れる撮影の一つです。これはセルフタイマーを使って自分を撮影しています。撮影中は長時間体を動かさないようにしなければならないのでISOを上げてシャッタースピードを短くしています。

NIKON D750  40mm f/11 190 秒  ISO 200

夜景の画質を優先するためにF値を上げ、ISOも最大限下げています。それによりシャッタースピードは約3分ほどとなっており、かなり星が流れてしまっていますが夜景の方をクッキリと高い解像感で写すことが出来ました。

いざ、星空撮影へ

星空撮影はとにかく経験を積むことでいろいろと分かってくることが多いです。季節ごとの星の位置や天の川の昇り始める時間帯なども調べてみたりしてもまた星空撮影の世界が広がります。色んなシチュエーションでまずは星空を写真に残してみましょう。GPVで天気を確認して、いざ星空撮影へ・・・