一眼レフで見る絶景!東 北海道の歩き方【釧路湿原】湖沼編

   

こんにちは。

東北海道のフォトグラファー「ケンイチ」です。

今回は、前回の記事に引き続き『絶景!東北海道の歩き方【釧路湿原】湖沼編』をお送りします。
(当初、前・後編の2部作の予定でしたが、内容が長くなったので3部作になりました)

コッタロ湿原方面 二本松付近からの夕景

今回は「低層湿原」を横断できるルートに入っていきます。

湿原を横断する

前回の記事では上の地図の「⑥」の場所にある『コッタロ湿原展望台』までの見どころを紹介しました。

前回記事:絶景!東北海道の歩き方【釧路湿原】雲海編

このコッタロ湿原展望台の辺りは、釧路湿原の中でも独特の景観を誇り、別の湿原のような呼び方が付いています。

そしてこれまではすべての道路が舗装道路だったのに対して、ここからは「砂利道」がしばらく続きます。

上の地図にある「⑦」の『シラルトロ湖』を目指して湿原の砂利道を横断して行くのです。

その道中には見どころもあるので予備知識としてもいくつか紹介しますね。

湿原横断道路の注意点

湿原横断道路というのは正式名称ではありませんが、この道は湿原の内部を唯一横断できるルートとなっています。

コッタロ湿原展望台から、出口の舗装道路まで砂利道が約3.5km続きます。

道幅は車2台がやっとすれ違うことができる狭いルートです。

路肩はほとんどないので、寄せることはできません。

寄りすぎると湿原に落ちてしまうので注意してください。

スピードを落としてサファリパークの用にゆっくりと湿原を観察するのがおすすめです。

また冬季間も除雪されているので通ることはできますが、大雨などが降った場合は道が湿原と同じ高さなので、冠水し通行止めとなります。

大雨の際は通行止めになることも

数年前のことですが、北海道に台風が立て続けに3つも上陸したことがありました。

その影響で釧路湿原の一帯は冠水し、この湿原横断道路も数ヶ月間通行止めとなったのです。

僕自身はこの期間内にも長靴を履いて観察に行きましたが、冠水した道は藻が発生し魚が泳いでいても不思議ではない状態になっていました。

実際にいたかもしれません、魚。

というのも川のような道を少し進んだとき、道路脇の枝でエメラルドグリーンに輝く「カワセミ」が2羽飛び立つのを見たからです。

もしかして冠水した道路で何かを狙っていたのでしょうか?

タンチョウの道路横断

先ほどの地図を見ると横断道路の途中に「二本松」と書かれている場所があります。

砂利道を進んでいくと釧路川に架かる細い橋があるのですが、そのすぐ側にある丘が「二本松」と呼ばれています。

元は砂利の採取場だったようですが今は使わておらず、近くの駐車スペースに車を停めて丘の上に登ることができます。

ですが、足場が悪いのと北側の斜面が切り立った崖になっているので、現地ガイドなしの場合はオススメできません。

またこの付近にはタンチョウの家族が飛来していることがあるので、彼らの道路横断の際には注意してください。

彼らは道路を渡る際、とてもゆっくりと歩いているのが特徴です。

夏の時期は一組のカップルに1~2羽の幼鳥が付いています。

その幼鳥のペースに合わせて、とてもゆっくりと歩いているのがわかります。

国の特別天然記念物である彼らを優しく見守ってあげましょう。

そして湿原を車で通過する際に、最も気をつけなければならないのが「湿原の民 エゾシカ」たちです。

湿原の民 エゾシカ飛び出す

秋から冬、そして春にかけて、この湿原の内部にはエゾシカが大勢います。

その反対に夏場は、辺り一帯が水が染み出している低層湿原ということもあり、足場がよくないのでその姿をあまり多くは見かけません。

しかし冬になると越冬地としてここに戻ってくるように感じます。

この上の写真のように、湿原横断道路を家族で散歩しているので、くれぐれも接触事故を起こさないようにスピードを落として走行してください。

僕はエゾシカを撮りたい時は、駐車スペースに車を停めて、歩いて彼らに近づきます。

冬の間の彼らは警戒心が薄れているようにも感じますが、夏場は車に驚いて飛び出してくることが多いので要注意です。

知床や野付半島のエゾシカに比べると、釧路湿原の場合は警戒心が強いようにも感じます。

ちなみに夕暮れが迫ると、二本松の付近に集まってくるエゾシカの家族に出会えます。

「どうしても会いたい」

と思う時は、二本松付近の駐車場で静かに待っていると必ず出会えるでしょう。

他にもこのルートで出会える動物たちを紹介します。

アオサギの飛来地

湿原の内部にはアオサギのコロニーがあり、そこで繁殖しているようです。

彼らもこの湿原横断道路を通過中に道路脇で見かけることがありますが、警戒心がとても強く近づいて観察することはできません。

本州では池や沼など比較的人の近くで観察できる場合もあるようですが、ここ湿原では50m以内に近づくのは至難の業です。

双眼鏡や超望遠レンズで観察することをオススメします。

早朝や夕暮れには小さなハンターに

それほど個体数が多いとは感じませんが、この湿原横断道路ではキタキツネに出会えることもあります。

特に早朝や夕暮れの時間帯に歩いている彼らに出会うことが多いです。

昼間はあまり見かけません。

彼らがこちらに向かってくる場合、車を道路脇に寄せて静かに待っていると、そのまま近くを通り過ぎていきます。

車から降りて道路に人がいる場合、彼らは藪の中に姿を隠しますが、車から降りなければそれほど警戒しないように感じます。

僕がいつも思うのは、彼らには決まった行き先(目的・用事)があるので、そう簡単にルートを変えたりはしないということです。

エゾシカなどは驚いたら四方八方に逃げたりもしますが、キタキツネは姿が消えたと思っても、藪をすり抜けてワープするようにまた現れて、自らの道を進むことが多いです。

餌やりは愛じゃない

そして大切なのが野生動物には「餌やりはしない」という心構えです。

彼らは野生で生きることを選び生まれ、厳しい自然の中で強く逞しく輝いています。

彼らが餌を探す能力はとても高いのです。

人間の都合で彼らの本能や能力に関わるのは愛ではありません。

野生動物の生き方を尊重し、彼らとの距離を保ちましょう。

その方が彼らは健康で安全に暮らしていけるのですから。

自然を愛するがこそ、お願いしますね。

さて、湿原横断道路での話が長くなりましたが、次はいよいよ舗装道路に出ます。

コッタロ展望台から約3.5kmで、踏切と急カーブがあるポイントに出ます。

この辺りでは冬の風物詩である「SL冬の湿原号」も間近に撮影することができます。

それでは車道に出て左折し「シラルトロ湖」目指しましょう。

シラルトロ湖を一望する

全体地図では「⑦」のポイントになる『シラルトロ湖』を訪問してみましょう。

(シラルトロ沼とも呼びますが、一般的には『シラルトロ湖』と呼ばれています)

その前に、舗装道路に出てすぐに左手に「サルボ展望台」という案内標識と駐車場があることに気が付きます。

簡易トイレもあるので寄ることは構いませんが、初めての観光の場合、あまりオススメはしていません。

豆知識~サルボ展望台の特徴

理由は、

  • 急カーブの途中にあること
  • サルボ展望台までのルートが軽登山並みということ(片道約15分)
  • この反対側の直線で飛ばす車が多いこと
  • サルボ展望台からの展望は、日中はそれほど絶景ではないこと

が挙げられます。

このサルボ展望台は、交通量の少ない早朝に訪れることをオススメします。

湿原で一番大きい湖『塘路湖』が一望でき、朝焼けや雲海が期待できます。

春や秋の寒い朝には、こうして深い霧の上に出ることが可能です。

ですが標高が低いので、展望台そのものが雲に飲み込まれることもしばしばあります。

サルボ展望台からの朝日~雲に何度も飲み込まれながら

そんな時は、ここを諦めてこの後向かう「塘路湖」で霧が晴れるのを待つことをオススメします。(早朝の場合)

サルボ展望台は、日中はそれほど驚くような絶景は期待できません。

そしてアップダウンのある舗装道路を約1.5km進むと、左手に大きな湖が見えてきます。

そこがシラルトロ湖です。

シラルトロ湖に到着

橋の手前に広い駐車スペースがあるので、そこに車を停めて景観を眺めてください。

※シラルトロ沼という呼び方もあります。

湿原特有の植生が見られます。

水が染み出している低層湿原になるので、湖岸には近づくことはできません。

そして実は、先ほど通過した踏切につながる鉄道が、このシラルトロ湖の奥を走っています。

SL冬の湿原号に出会える湖

上の写真は『SL冬の湿原号』が凍結したシラルトロ湖の向こう側を通過した時の写真です。

以前は夕暮れ時に煙を上げるSL列車を写真に収めることができたのですが、今はタイムスケジュールが変更になったので、夕景とのコラボは見れなくなったはずです。

外部リンク:SL冬の湿原号パンフレット

湖の対岸には温泉施設やJR駅もあるので、お好きな方は訪問するのも楽しいかもしれません。

茅沼温泉と茅沼駅

シラルトロ湖の駐車場から約5分ほどで温泉宿に着きます。

外部リンク:茅沼温泉(カヤヌマ)

冬にはこのすぐ近くにある「茅沼駅」付近にタンチョウが飛来します。

SL運行とのコラボ撮影が期待できる人気の場所でもあります。

外部リンク:茅沼駅

駅は無人駅のようです。

このシラルトロ湖は駐車場からの「夕景」がなかなか見事なのですが、今回はこのあとに続く「細岡展望台」の方をオススメしています。

冬になるとこの湖はほぼ全面結氷するのですが、橋の付近だけは結氷しないので、白鳥などの渡り鳥が羽を休める姿を見ることもできます。

オジロワシやタンチョウの姿もよく見かけます。

春先になると結氷した湖の上で、キタキツネの求愛のダンスが見られることもあります。

またこの場所での夜景や星景撮影ですが、橋を明るく照らすナトリウム灯のオレンジ色の光が強烈で、なかなか思うようには撮れないのが残念です。

この場所からそのまま北に進むと、30分ほどで「標茶町」(シベチャ)に到着します。

標茶町には食事処やJR駅、コンビニなどがあります。

この町で昼食をとるのも良いかもしれませんね。

ちなみに標茶町から、摩周湖のある「弟子屈町」(テシカガ)までは約30分の距離になります。

でも今回は釧路湿原を巡る旅なので、南に戻ることにしましょう。

早朝からここまで順調に周った場合、おそらくまだ午前中だと思うので、次のポイントを目指します。

湿原最大の湖『塘路湖』

先ほどのシラルトロ湖の駐車場から約1.3kmという距離に、塘路湖(トウロコ)の観光施設があります。

ルートの全体地図で見ると「⑧」の位置が塘路湖です。

直線を過ぎると左にエコミュージアムセンターを案内する標識があるのでわかりやすいはずです。

ここではカヌーや湖畔の散策、そして冬はワカサギ釣りなどを楽しむことができます。

多くの野鳥の飛来地でもあり、バードウォッチングにも最適なロケーションです。

エコミュージアムや標茶町の郷土館などもあります。

ですが、こと「絶景撮影」となると、この湖は構図やシチュエーションを作るのが少々難しいなと感じます。

塘路湖の撮影ポイント

湖自体は巨大なのですが、湖畔へのアクセスポイントが少ないのと、奥を目指そうとすると道路が次第に湖から遠ざかっていくので、撮影するならキャンプ場付近で探すのがベターです。

釣り人の姿は結構見かけます。

早朝であれば、朝焼けや霧の湖に出会うことが期待できます。

この辺りは朝晩特に冷え込むので、霧が発生しやすいのです。

冬は湖面が全面凍結し、辺り一面が美しい「霧氷」に覆われることも多い場所です。

僕の場合は夜に訪れて星空とのコラボレーションを撮ることもあります。

塘路湖の星空

この辺りは人口が約20万都市の「釧路市」からの光が届くのですが、北と東の星空はとても美しく見ることができます。

キャンプ場も併設されているので、トイレや外灯などがあり、安全に自然を楽しむことができます。

上の写真はキャンプ場の明かりでライトアップされた林を枠にして、星空を切り撮りました。

実は湖の対岸にも行くことができるのですが、林道は狭く見どころも少ないのでオススメはしていません。
(稀にヒグマの目撃例もあります)

今回紹介しているルートでここに辿り着いた場合は、ここである程度時間を調整しても良いですし、次のポイントである「達古武オートキャンプ場」でゆっくりするのもオススメです。

この後はフィナーレの「湿原の夕景ドラマ」が待っていますからね。

まとめ

塘路湖付近の沼に飛来した白鳥と夕日+アオサギ

今回紹介したルートには、大小様々な池沼湖があり『水の湿原』の豊かさを間近に感じることができます。

数年前の台風で湿原が冠水したとき、この辺りの水位はとても高くなったのですが、まるで都市を守るかのように巨大な水瓶として、低層湿原が洪水を防いでくれたような気がします。

日本に残された豊かな水の湿原。

そしてそこに生きる野生動物たち。

ゆっくりと観察することで先人に守られてきた貴重な大自然を、あなたも肌で感じることができるでしょう。

そしてこの地を訪れたなら、季節や時間帯を工夫することで、印象的な写真を撮ることも難しくはありません。

そのためには「ゆっくり走ること」が何よりも大切だということを覚えておいてください。

使用機材

僕が釧路湿原で撮影に使用している主な機材は、

  • カメラボディ~Nikon D750/D810/D500
  • 中望遠ズームレンズ~70-200mmf/2.8
  • 超望遠ズームレンズ~200-500mmf/5.6

などがメインになります。

超望遠レンズは一台のカメラに付けっぱなしにして、いつでも野生動物を撮れるようにしています。

一時期はカメラボディがD500で、300mmf/4の単焦点レンズがメインの組み合わせの時期もありました。

実際に塘路湖付近で野鳥撮影する際に「照準器」を使用した記事も紹介します。

外部リンク:幸せカメラ

野鳥撮影で照準器を使ってみた~実践編

釧路湿原では、エゾシカやタンチョウなどを車から降りずに撮るのであればレンズは500mm相当がオススメです。

超望遠レンズ500mmで撮影「朝霧のタンチョウ」

歩いて散策しながら撮るのであれば、200~300mmあれば十分だと思います。

もちろん広大な景色を撮るためには24-70mmの広角ズームレンズも必要です。

野鳥に的を絞ってしっかりと撮るのであれば、照準器やビデオ雲台、一脚などがあると便利です。

野生動物の実際の撮影方法についてはいずれまた詳しく紹介したいと思います。

それでは次回「絶景!東北海道の歩き方【釧路湿原】夕景編」で、クライマックスの絶景を見に行きましょう。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

前回記事

絶景!東北海道の歩き方【釧路湿原】雲海編

 

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